おせち料理の由来:「節供」の料理が正月の重箱になるまで

正月に欠かせないおせち料理は、季節の節目に神に供えた「節供(せっく)」の料理がルーツです。重箱に詰めるようになった経緯や、黒豆・数の子などに込められた意味を紹介します。

重箱に詰められたおせち料理
写真:jetalone(CC BY 2.0)/Flickr
目次
  1. 「お節」は季節の節目の料理
  2. 庶民に広まった正月料理
  3. 料理に込められた意味
  4. 地域で異なる正月の味
  5. 現代のおせち
  6. まとめ

新しい年の始まりを祝うおせち料理。色とりどりの料理が重箱に詰められた姿は、日本の正月を代表する風景です。しかし「おせち」という言葉は、もともと正月に限った料理を指すものではありませんでした。

「お節」は季節の節目の料理

「おせち」は「御節」と書き、季節の変わり目である「節(せち)」の日を意味します。古代の宮中では、元日や五節供などの節目の日に「節会(せちえ)」と呼ばれる宴が開かれ、神に供えたり、人々にふるまったりする料理が用意されました。これを「御節供(おせちく)」と呼んだことが、おせち料理の名前の由来とされています。

節目の日は一年にいくつもありましたが、やがて最も重要な節目である正月の料理を指して、「おせち」と呼ぶようになりました。

庶民に広まった正月料理

節供の行事や料理は、江戸時代になると武家や町人のあいだにも広がりました。江戸では正月の祝い膳を「喰積(くいつみ)」、上方では「蓬莱(ほうらい)飾り」などと呼び、縁起物を盛り付けて年始の客をもてなしたといわれます。

料理を重箱に詰めるスタイルが一般に広まったのは、江戸時代の終わりから明治時代にかけてのことと考えられています。重箱には「めでたさを重ねる」という願いが込められているとされます。また、正月の三が日は台所仕事を控え、かまどの神様を休ませるという考え方もあり、日持ちのする料理を年末のうちに作っておく習慣と結びつきました。

料理に込められた意味

おせち料理の一品一品には、新しい年への願いが込められています。代表的なものを見てみましょう。

料理込められた意味
黒豆「まめ(まじめ・健康)」に働き、暮らせるように
数の子ニシンの卵。卵の数が多いことから子孫繁栄
田作り(ごまめ)かつて小魚を田の肥料にしたことから五穀豊穣
海老腰が曲がるまで長生きできるように
昆布巻き「よろこぶ」にかけた語呂合わせ
栗きんとん黄金色にちなみ、金運や豊かさ
伊達巻巻物に似た形から、学問や文化の発展
れんこん穴から先が見通せることから、先見性

関東では「黒豆・数の子・田作り」、関西では「黒豆・数の子・たたきごぼう」を「祝い肴三種」として特に大切にする地域が多いといわれます。昆布巻きに使われる昆布の歴史は「昆布と「うま味」の発見」で紹介しています。

地域で異なる正月の味

おせちとともに正月に食べる雑煮も、地域による違いが大きい料理です。一般に、東日本では焼いた角餅をすまし汁に入れ、西日本では丸餅を煮て使うことが多いとされます。京都などでは白味噌仕立ての雑煮が親しまれています。

現代のおせち

戦後になると、百貨店などが完成品のおせちを販売するようになり、「おせちは買うもの」という選択肢も広まりました。現在では、洋風や中華風のおせち、少人数向けのおせちなど、さまざまな種類があります。

形は変わっても、家族や親しい人と新年を祝い、一年の幸せを願う気持ちは、昔から変わらず受け継がれています。

まとめ

  • 「おせち」は、季節の節目の日に供えた「御節供」の料理に由来する
  • 節目のなかで最も重要な正月の料理を指して、おせちと呼ぶようになった
  • 重箱に詰めるスタイルは、江戸時代末から明治時代にかけて広まった
  • 料理の一品一品に、長寿や子孫繁栄、豊作などの願いが込められている

おせち料理は、古代の宮中行事から続く「節目を祝う」文化を、いまに伝える料理なのです。

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